top of page

【麻薬取締官】薬物犯罪を取り締まり国の安全を守る薬剤師。

薬学部卒業後の進路


Bさん

厚生労働省関東信越厚生局

麻薬取締部捜査課

司法警察員・麻薬取締官


 麻薬取締部の捜査課に所属するBさんは、薬学部に入る前から「世の中のためになる仕事をしたい」という思いが強かった。そのため、麻薬取締官を目指すようになったのは「自然な成り行きだった」と話す。

 麻薬取締部はわが国の薬物犯罪全般の捜査を手がける。最近では海外の犯罪組織が関与する密輸入事件が多い。麻薬取締部だけでは解決が難しい事件もあり、その場合は都道府県警察、税関、海上保安庁など関連する捜査機関と連携して捜査にあたる。

 麻薬取締部には、捜査課以外に調査総務課や鑑定課がある。調査総務課は、麻薬の輸出入に関する許認可業務の書類審査や厚生労働大臣が行う向精神薬取扱者の免許証の発行などを行う。鑑定課は、捜査で押収した薬物が違法なものであることの確認や被疑者の尿・毛髪などから違法薬物の使用を裏付ける化学鑑定試験や、薬物使用者特定のためのDNA型鑑定試験などを担当する。


捜査課においても大切な薬学的知識


 近年、SNSを使った違法薬物の取引が増え、犯罪方法は巧妙化している。取引現場を確認するための内偵捜査では、張り込みのために車中泊をしなければならない場合もしばしばだ。Bさんは「逮捕の瞬間は一瞬。そこまでは、ひたすら待つことが仕事。この仕事には、待っている時間を楽しめる資質も求められる」という。それだけに、被疑者の犯罪関与を確認し令状を請求して逮捕に至る瞬間は、「何物にも代えがたい充実感」を味わえるという。

 事件内容によって効果的な捜査手法はさまざまであり、ベテラン捜査官の経験に基づく判断が、しばしば解決のカギとなる。入省以来6年間、捜査課一筋のBさんに今の目標を聞くと、「一捜査員として目の前の事件を一つひとつ解決しつつ、捜査手法の経験を積んでいきたい」と返ってきた。

 捜査課における薬学的知識の必要性をBさんに聞いた。

 「薬物依存などに関する理解が必要なことは言うまでもありませんが、同時に被疑者の人権に配慮するうえでも薬学的知識は大切です。例えば被疑者の中には持病の治療薬を処方されている人がいますが、本人の服薬に関する申告とお薬手帳や処方箋との整合性を確認する場面などで薬学的な知識は生きてきます」

 薬物乱用者、暴力団、不良外国人などと対峙する捜査活動では、逮捕術の訓練も欠かせない。麻薬取締官の半数は薬学部卒の者たちであり、日々の鍛錬と地道な捜査活動によって、国家の治安を守る一翼を担っている。


 

Profile

Bさん

厚生労働省関東信越厚生局

麻薬取締部捜査課

司法警察員・麻薬取締官

2017年薬学部卒業後、厚生労働省関東信越厚生局に入省。休日はショッピングに出かけるなどして過ごし、仕事の緊張を解くことを心がけている。子供の頃に始めた空手は大学まで続けた。現在も大学のOB会で現役学生相手に指導したり合宿に参加したりするなど、Bさんにとって大切な生活の柱となっている。

※職務上、氏名および顔写真の掲載を控えました。

bottom of page